MEMBER NOTE

YOASOBIのライブができるまで

皆様こんにちはAyaseです。
この度ついに前々からやりたかったことのひとつとしてファンクラブ内でブログを始めることになりました。やったー
基本的には近況報告をベースに、しっかり書き込む日もあればSNSのように気軽に一言つぶやくような日もあるような、そんなラフなコンテンツにできたらいいなと思っています。
どうぞよろしくね。

さて
これを投稿する今今の今日としては、我々ホールツアーの初日を臨む熊本で過ごしております。
ゲネプロという完全に本番を想定したリハーサルを行ったり、様々な最終調整を行ったりする日です。
明日が楽しみだなあ
参戦される方、一緒に最高の思い出を作りましょうね。

それでは早速本題に入りたいのですがその前にひとつ、
今回はブログ開設一発目の記念すべき回ということで、気合を入れて長文を寄稿しようと思っています。
先に言っておきます、本当に長い文章になります。
小説書くくらいの気持ちでしたためるつもりなので心して読んでください。
パート分けとかしません。一気に読んでもよし、日を分けて読むもよし、です。

ということで今回の内容ですが、
タイトルの通り”YOASOBIのライブができるまで” のお話です。
いろんなメディアや個人的な配信で少々語ることはあれど、隅から隅までお話ししたことはない“YOASOBIのライブがどうやって作られていくのか"をみっちり書き記していこうと思います。
あくまでもYOASOBI の場合、というお話しなのでそんな風に思って読んでくださいな。
これを読むことで、YOASOBIのライブを支えてくれているチームメンバーがどんな人たちなのか、どんな活躍をしてくれているのか、少しでも伝わってくれたら嬉しいなと思います。
さてさて、まずはライブの開催決定自体どうやって取り決められているか。
これは開催日から遡ること約2年ほど前のお話になります。

その時の自分達の活動幅から想定して、約2年後にどういった動きをするのがベストかをマネジメントチーム含めみんなで相談します。
ここで指揮を取ってくれるのがライブ制作チームです。
個人的な配信等でもたまに話に上がる永里さんというYOASOBIライブチーム全体のキャプテンでもあるカレーが大好きな彼が率いるライブ制作チームと、我々YOASOBI チームで打ち合わせを重ね、ライブをする会場のキャパシティ、回るツアーの本数などなど決めていきます。
2年も前から決めないといけない理由は簡単な話で、そのくらい前でないと埋まっちゃうんですね、会場の予約が。
世界中の色んなアーティストが日々ライブをしているわけなので、そのくらい前から予約しないと会場をそもそも押さえられないのです。大変だこれ。

では早速今話に出てきたライブ制作チームについてのお話から。
ライブ制作とはその名の通りライブを作るよ!ということ、彼らはアーティストがライブを行う上で欠かせないパートナーなのです。
YOASOBI のライブを作っていく上でも例に漏れず、いつも中心となって動き続けてくれているライブ制作チーム。
彼らの活躍幅は半端じゃないです。
ツアーにおいては先ほど書いた会場の押さえはもちろん、そこから逆算した全てのスケジュール作成、現地のイベンターさんとのやり取りや宿泊地の確保、航空券の取得にビザの管理、果てには打ち上げ会場の予約から移動車の手配まで全てを把握し全てに関与しています。ライブ当日のタイムスケジュールの管理やアーティストやサポートメンバーの誘導、演者のケアのみならず各チームとの連携における管制塔の役割も果たしつつ誰よりも足も動かします。
とんでもない仕事量を一手に引き受けYOASOBIのライブが成功するよう尽力し続けてくれるライブ作りのプロたちです。
永里キャプテンはいつも目がパンパンです。
寝てないんでしょ、寝てください。
現場が大好きなのは分かるけど身体も大事にしてください。我々にとって欠かせない存在なんだから無理されちゃ困りますよまったくもう。
そしてこのチームにはアンズという我らの愛するパワフルガールがいます。
UTライブのリハーサルの時インターン生だった彼女とはじめましてをしたあの日を思うと、不意に感慨深くなるほど立派に活躍してくれています。
本当に頼りになる最強のチームメンバーです。
これだけの激務をこなしながら現場ではいつもニコニコしている彼女の頑張りを思うと最近忙しくてさあ~なんて言ってられません。
いつも感謝してます。
次の誕生日期待しといてください。

ちょっと話が逸れちゃいましたが
そんなライブ制作チームと沢山打ち合わせ、決まった会場とツアースケジュール、これを元に次に行うのが"ツアーのテーマ決め"です。これは毎回ワタクシAyaseが決めております。
ちなみにツアーのテーマというのはツアータイトルとは別です。
今回のツアーをどんな想いで、どんな意志をもって開催し、来てくれた方にどんなメッセージを伝えたいのか、どんな景色をお見せしたいのか、というのを言葉にまとめ、ツアー全体のストーリーの軸を決める。
そんな感じでございます。

今回のホールツアーのテーマは"キャラバン"
旅する音楽隊YOASOBI の愉快な行進、
各地で待ってくれている仲間たちと相見え、鳴らす音楽のもと宴に興じる。
楽しげな音に誘われて集まった人々と輪を作り
仲間を増やしながらまた次の街へ。
そうして各地で築いていこう!
来るもの拒まぬ自由で愉快なワンダーランドを。
今回のツアーのストーリーはこんな感じです。
このテーマをYOASOBI ライブチームに属する各チームに共有し、これを元にライブにおける様々な構想を広げていきます。

さて、ここからはライブチームに属する各チームがどんな動きをしているのか、細かくお話ししていきたいと思うのですがその前に、ライブだけでなくYOASOBIの活動全体に大きく携わってくれているクリエイティブチームのお話をさせてください。
YOASOBIは今まで誰かが中心となってクリエイティブの指揮を取るということはあまりありませんでした。
いただいたお仕事やライブに対してその都度出来る人間が頑張る、そんな感じでした。
ワタクシAyaseがYOASOBIの楽曲以外のクリエイティブに本腰を入れて取り組み始めたのは5周年記念ドーム公演、超現実の準備を始めた辺りからです。
ただ音楽を突き詰めるだけではなく、ビジュアルやデザイン、クリエイティブの面でもかっこいいYOASOBI でありたい。
前々からうっすらと思っていつつ、仕事の忙しさを言い訳にあまり関与できていなかった部分を、5周年という節目のタイミングでがっつり自分で指揮を取ってやっていこう!そう思いました。

そこで発足したのがクリエイティブチームです。
今ここの核にはAyaseを含めて、藍にいな、加藤さん、佐々木君、ギロチン君というメンバーがいます。何じゃこの集団。
それぞれが担ってくれている役割をざっくりと紹介しますね。
藍にいなはYOASOBIから出ていく様々なアートワークのデザイン作成や監修、ライブ中の映像演出の作成や監修、その他にもデザイン周りのことを中心に沢山のことをこなしてくれています。
YOASOBIの活動に基づいた確認ごとと作業量だけでとんでもないサイズの役割りを担ってくれていて、完全にキャパオーバーだろと思うほど忙しく動いてくれています。自分のアーティスト活動がメインにある中、裏でYOASOBI のクリエイティブを根幹から支えてくれているのです。いつも本当に感謝しています。
加藤さんはギャラリーの運営やアーティストの個展のサポート等、様々なクリエイティブに携わっているアートの世界のスーパー忙し人です。YOASOBIが実現したいクリエイティブにフィットしそうなアーティストを紹介してくださったり、撮影ごとやクリエイティブの進行を指揮取ってくれたりとその活躍は多岐に渡ります。海外に出張されていることもめちゃくちゃ多いのでお互いがお互いに意味不明な時間にリモートで打ち合わせをすることも多いです。最近飲みに行けてないので熊本で乾杯できるのが楽しみです。
佐々木君はYOASOBI のビジュアル面を全て監修してくれています。衣装のスタイリング監修もしかりです。
常に腹ペコでかなり風変わりな空気を纏っています。
ケータリングで用意していただいたご飯やお菓子も一つ残らず持って帰る素晴らしい精神の持ち主でもあります。バナナとかをジップロックに入れます。
彼も半端なく忙しく動いてくれていて、SNS等にアップされるYOASOBI本人が写っている写真や動画は全て彼の監修下にあります。
佐々木君のビューティーチェックを通過したモノのみが世に投下されるのです。
その他雑誌の撮影やテレビの撮影も、YOASOBI本人が世に出るコンテンツは基本的には全て彼が監修してくれています。
ikuraとAyaseのビジュアルが世に出る時、見た人に素敵だと思ってもらえるよう常に考えを巡らせてくれているのです。最近はもう半分カメラマンみたいにもなっています。我らのインスタに上がる写真の半分以上は彼の撮った写真かもしれないです。
ギロチン君はなんちゅう名前なんだと思われるかと思いますがGILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAEという名前で活動するアーティストです。
インスタ等でこの名前検索してみてください。最高にイカした彼の作品が沢山見れます。
彼がどういったことをしてくれているのかというと、例えば超現実の演出におけるモンスター等のキャラクターデザイン、気球のキャラデザとかもそう、あとはライブのステージ上、Ayaseゾーンに設置されているパイプ要塞のデザインなどなど、演出における色々なデザインを作ってくれています。
ワタクシ自身彼の純粋なファンなので、彼の作品と共にライブができるのは最高にテンションが上がります。
今はまだ未発表の色々も一緒に作ってくれています。楽しみにしててね。
そしてAyaseはクリエイティブチームにおいて何をしているのか、
Ayaseは主に発案と全部の確認、意見出し、そして一緒に色々と悩んで、最終決定をする役目です。
こんなことがやりたい、こんなアイディアを実現したい、Ayaseの無邪気な提案をみんながこねくり回してくれて、そこから更に細かく一緒に詰めていってアップデートを繰り返す。繰り返して繰り返して…そうしてひとつのクリエイティブが生まれます。
みんなのおかげでYOASOBI を突き詰めていくのが楽しくて楽しくて、本当に日々感謝しかないです。

さあ、そんなクリエイティブチームがYOASOBIを支えてくれている前提のもと、ここからはまたライブのお話に戻ります。
ツアーテーマが決まったところでしたね、お次はYOASOBIライブチームに属する様々なプロたちのお話です。
ツアーテーマを受けて、早速各チームが各々の仕事に取り掛かります。
まずは舞台監督の清水さん率いる演出チームのお話。
清水さんとワタクシと、そしてクリエイティブチームのみんなとも共有しながらライブの演出をざっくり決めていきます。
どんな舞台装置を作るか、映像演出や作り物はどうしようか、5周年のドーム公演で例えるならモンスターの巨大な手、横に割れる大画面LEDパネル、自動販売機にジオラマの街、キッチンステージなどなど…あの演出たち全ての構想がこのチームを中心に練られています。
ちなみにドーム公演の演出は本当にライブ当日まで綿密に調整に調整を重ねていました。
本番1、2週間前辺りからはほぼ毎日、朝方近くまで打ち合わせをしていました。
本当に大変だったけど達成感もひとしお、
あまりにも思い入れが強すぎてたった4公演で終わってしまうことにものすごい寂しさを感じたものです。
そんな演出チームには舞台監督の長谷川a.k.a.ハセミンという辛辣さと可憐さを交互に繰り出す系のリバーシブルガールがいるのですが、上司である清水さんへの現場のトランシーバーでの対応が塩過ぎて好きです。仲良しなのにね。

清水さんたちと演出プランを練る上で同時に検証しないといけない大事なこと、それが音響問題です。
たとえばこれもドームのお話ですが、京セラドーム、東京ドーム、皆さんご存知の通りめっちゃ大きいです。
最大約55,000人ものキャパの会場ともなると音響問題はものすごくシビアです。
各会場には音量制限なるものがあります。会場の立地や付近の建造物によって様々ですが、厳密に制限が定められています。
この制限を無視した音量を放った場合どうなるのか、出禁になります。
今後その会場でライブはできません。
これも仮にアーティストにのみ課されるペナルティであればパンクな精神で突き抜けることもある種潔いのかもしれませんが、ペナルティを背負うのは
我々アーティストだけではありません。
ライブ制作チームや協力してくれている様々な会社や組織もその対象になります。
なのでこの厳しい音量制限の中で我々は最大限の努力をする必要があります。
全体のデシベル数を抑えた上でお客さんに気持ちのいい音を届けるために、考えられる手はいくつかあります。
そのひとつがスピーカーを沢山設置する、です。
一般的にディレイタワーと呼ばれる巨大スピーカーを搭載したタワー、これを設置すればするほど理論上沢山の人に、後方の席までもしっかり一律の音量を届けることができます。
じゃあそうすればいいじゃんと思うかもしれませんが、これがまたそう簡単にはいきません。
タワーを設置すればするほど、次は別の問題が出てきます。見切れ席の発生です。
このディレイタワー、めっちゃでかいです。そんなデカタワーがフロア中に何本も点在するとなるとその後ろの席の多くが視界を塞がれます。
仮にドーム内に何本もタワーを設置した場合、何千人もの人がステージを気持ちよく見ることができず悲しい思いをしてしまいます。
我々YOASOBI、そしてYOASOBIライブチームがライブを作る上で最も大事にしていることの一つ、
それは来てくれたお客さんが全員同じだけの満足度を持って帰ってもらえるようにすることです。
誰一人として悲しい思いをしてほしくないし、疎外感を感じるようなことになってはならない。
演出プランを練る上でも、まずこの前提条件をクリアすることはマストです。
席によってもちろんライブの見え方は変わります。音の聞こえ方も完全に同じにすることは不可能です。
であれば逆に、すべてのエリアに、そのエリアだったからこそ体験できる感動を届けることもできるんじゃないか、
そんな風に考えて色々な演出案を出しました。
最前付近はアーティストの姿がよく見える。後方の席は逆にライブの演出全体を壮大に感じることができる。
一階席後方には花道を使ってアーティストが近付ける工夫を、二回席三階席のお客さんの近くには気球に乗って会いに行こう。
演出チームと色んな検証をしながら、お客さん全員の近くに行くことができる工夫を凝らします。

音響チームも音量制限のもとベストな音作りができるよういつも真剣に考え続けてくれています。
低いローの音と高いハイの音を上手く切り分けることで、タワーを沢山設置せずとも制限を超えることなくそれぞれのエリアに気持ちの良い音を届けることができるんじゃないか。
とりあえずやれることは全部試してみよう!そんな風に議論しながらPAのフジケンさんと何度も何度も色々な検証をしました。
ライブならではのロー感やリズム感を体で強く感じることができるエリア、
ハイが強く響くことでikuraの歌声をものすごくクリアに聴くことができるエリア、
先にも書いた通り、大きな会場になればなるほど全てのお客さんに全く同じ景色、全く同じ音をお届けすることはできません。
しかしそれは逆に、お客さんそれぞれに違う光景をお見せすることができる、違う良さの音色を届けることができる。
お客さんの数だけのドラマを産むことができて、同じ空間なのにそれぞれが違った感動を持って帰ることができる。
ネガティブな違いではない、その人それぞれだけのプレミアムなライブ体験を届けるんだ!
そんな風にチームみんなで一致団結し、試行錯誤を繰り返しました。
全員が同じだけの満足度を、しかし全員が違った感動を、そんなライブを作るため
ドーム公演の際は本番当日もオープンギリギリまでみんなで突き詰めていました。
来てくださった方、どうだったかな。
こんな風に感じてくれていたら、ライブを楽しんでくれていたら嬉しいです。

お話がかなり逸れてしまいましたが、そんな様々なハードルと真剣に向き合い、演出の大枠を決めていくのです。
さあ、そして演出のプランニングをしつつ同時進行で進めるのがセットリストの作成です。
セットリストは毎回ワタクシが思考に思考を重ねて組んでおります。
テーマに基づいてどんなストーリーを感じられるライブにしようか…◯曲目にこの曲を配置するとしたらこんな感じで曲間を繋いで…そしたらこんなドラマが生まれるかもしれない!だとしたらここは~…
なんて風に実際にステージに立つ自分たちを想像しながら綿密に計画を立ててセットリストを組んでいきます。
そうして組み上がった第一稿のセットリスト(仮) を各チームに共有し、次の段階に移ります。

例えば映像演出をがっつり使うライブの場合、平山さんというリーダー率いる映像チームが動き出します。
まずはセットリストに選出された楽曲ごとにLEDに映す映像の制作を各クリエイターに発注します。
過去の映像演出をアップデートして使用するシーンもあれば、完全新規に作る映像も多いです。
この辺りの監修もにいなが担当してくれています。
うちは特にアニメタイアップの楽曲も多いので、アニメMVの映像を取り入れて作ることも多いです。
ちなみにその場合権利関係の確認がとっても大事なのでアニメサイドにしっかり使用許可をいただきます。
想いのこもった大切なアニメの映像、使わせて頂いていつも感謝です。
そうして様々な素材の準備や各クリエイターとの日々のやりとりを経てライブ中の映像は作られていきます。
ちなみにざっくり決まったセットリストに、本番日付近で急に想定外の楽曲を組み込もう!なんてことになることも少なくはないので、直前でやばい!
とならないようあらかじめセットリストに無い楽曲であっても、演出に組み込む対応ができるよう用意をしていたりします。
映像クリエイターの皆様、映像チームのみんな、いつも本当にありがとうございます。

ライブの演出において欠かせない要素はまだまだあります。
お次は照明チームとレーザーチームのお話です。
舞台監督の指揮のもと組まれていく演出に沿って、そしてざっくり完成予想を敷いたLED映像の資料等を元に、楽曲中や楽曲と楽曲の繋ぎにおける照明の動きや色、そもそも設置する照明機材の台数や配置等を決めていきます。
楽曲の始まりに合わせたド派手な照明も、オープニングSEからYOASOBI本人の登場に合わせたダイナミックな照明の動きも、全てが人の手で作られています。ライブ中はもちろんのこと事前準備の段階から綿密に計算され、ライブがドラマチックで劇的なものになるよう照明チームみんなが頑張ってくれているのです。
照明チームに限らずですが、各チーム毎日様々なアーティストの現場を飛び回っています。
YOASOBIのLAのライブが終わった直後に空港に直行、即フライト、からの翌日には日本でまた別のアーティストの照明を担当している…なんて姿もザラに見てきました。本当にいつもありがとう。
ちなみにこのLA→日本の話は照明チームの東海林という非常に頼りになる大柄な男の話なのですが、いつも目の下にどでかいクマを作っています。身体、大事にしてね。

レーザーの演出も照明と並んでとてつもなく大事な演出要素の一つです。
ビカビカとエキゾチックに、時にはうねるように会場中を駆け巡るレーザーは、YOASOBI の鳴らす音と共にお客さんのすぐそばまで届いて、リアルタイムに進行していくライブの生感を更に際立たせてくれます。
そんなレーザーチームはパセリを主食としている変な人が率いています。
世界の本田と呼ばれている凄腕のリーダーです。打ち上げにパセリが出たら分けてあげます。
こうやって色んなチームが連携をとりながらライブ全体の完成度を上げていくんですね、まさにチームプレイだ。

お次は衣装のお話。これも欠かせない大事な要素です。
先ほどもご紹介した佐々木君が、まずはライブのテーマを元に衣装のリファレンスを資料にまとめて提案してくれます。そしてその資料を受けてワタクシ含むクリエイティブチームとであーだこーだ相談しながら方向性を定めていきます。
そうして決まった方向性に基づいて協力してくださるスタイリストさんを決めます。
このニュアンスならこの人合いそうだね~
この空気感ならこの人が上手そうかも~などなど、
ツアーテーマと掛け合わせた時、面白い化学反応を起こしてくれそうな強みを持ったスタイリストさんを探します。
そうして決まったスタイリストさんにアイテムを収集していただき、佐々木とワタクシも意見を出しながら衣装を決定していきます。
ちなみに今回のスタイリストさんは菅沼さんというバイブス系のイケイケ姉さんです。
以前から何度もご一緒していますが、初めて会った時からこの人の空気感好きだわ~とフィーリンした最高のスタイリストさんです。
バンドメンバー分の衣装も含め、何度も何度もフィッティングを行います。
フィッティングだけで昼間から夜中まで時間をかけ、それでも決定に至らず後日改めてフィッティング、みたいなこともよくあります。
そんなこんなを沢山繰り返して、一旦の衣装を決めます。一旦です。
ここで決定した衣装が一旦である理由は多々ありますが、特に今回のお話はライブの衣装のお話、プレイしづらいポイントや事故に繋がりかねない要素は排除しないといけません。
なので次の段階としては実際に仮衣装を着用してのリハーサルの実施、実際に本番を想定した動きの中で問題点がないかをチェックします。

話が前後しますが着用アイテムがざっくり決まってきた辺りでメイクチーム&ヘアチームと相談し、メイクの具合やヘアの方向性を決めていきます。
特にikuraのヘアに関しては毎回絶妙なバランスを探りながら試行錯誤して作っています。
まずもって2時間前後のライブ中、一度崩れようもんなら直すことはできません。
サービスカメラと言って本人たちの顔をアップで画面に映すカメラが入っていることも多いです。
最近は画質もとっても良いのでちょっとしたヨレなんかも映し出されてしまいます。
長い公演時間を耐えうるタフさが必要なのは大前提の上で作るヘアスタイル。トップにボリュームを出したいけど重すぎると不安定でパフォーマンスに支障が出る…サイド重めの髪型にしたいけど夏場の野外ステージだと熱がこもって危険かも…などなど耐久性だけじゃない様々な問題点も全部クリアした上で素敵なヘアスタイルに仕上げるのは本当に至難の業、プロの所業ですwakaさんすごいです。毎度恐れ入ります。

メイクに関しても同じく、ライブ中はもちろん大量の汗をかくのでその辺りも考慮したメイクをする必要があります。
僕なんか普段から汗の量が尋常じゃないので、アイメイクなんかも非常に難しいところが多いです。
写真撮影の現場ならOKでも2時間前後のライブを走り切るタフさがライブのヘア同様メイクにも必要不可欠です。
サービスで抜かれた時にメイクがヨレて顔がドロドロだあ!なんてことにならないよう作り込まないといけません。
それだけじゃないね、Ayaseとikuraとそれぞれに合ったメイクでありながら、会場や演出によって変わる照明の具合や光量、スポットライトの当たり方、どんな場面でもカッコよく可愛く見てもらえるよう試行錯誤していただいてライブのメイクは完成します。本当にいつもありがとうYOUCAさん。
そうして出来上がったヘアメイク&衣装を纏いリハーサルを行い、そこで出てきた問題点をブラッシュアップしながらビジュアルは完全決定まで持っていきます。
ちなみにそこまで検証しても本番を迎えてみると想定外のことが起こったりしてツアー途中でアップデートするなんてこともザラにあります。
やってみないとわからないことが本当に多いんだよなあ、ステージには潜んでる時あるしね、魔物。

さあ、もう話が前後しまくりですがここまでの流れと同時進行で進むのがリハーサル、つまりスタジオでの練習でございます。
仮組みしたセットリストを実際にプレイしてみて、その場で仮のMCなども交えながらライブ本番のイメージを固めていきます。
リハーサルを実際に行うと、たいがいセットリストに対して不満が出てきます。ワタクシが。
頭で想像した時は完璧なセットリストも、いざ実際にやってみるとなんか違うなあ、ここの流れなんか綺麗じゃないなあ、などなど問題点がたくさん出てくるので何度も何度も確認しながら調整を重ね、セットリストを完成させていきます。

そしてこの間に大活躍してくれているのがバンドマスターの存在です。
うちのバンドマスターはベースの森光奏太、俺はソウタ、リラはソウちゃんと呼んでいます。みなさんお好きな方でどうぞ。
広島から上京し、自分自身のアーティスト活動dawgssも精力的に行いながら様々なバンドのサポートベースも務める多忙な男です。しかしその忙しさを顔にも言葉にも出さず爽やかに、それでいて力強くベースを掻き鳴らす芯の通ったナイスガイです。

YOASOBI の難解な楽曲をリアルにプレイするための譜面を書き、バンドチーム全体のプレイングをまとめ、各パートのメンバーと意思の疎通をしっかり取った上でより良い演奏になるように調整していく、
その上「こんなアレンジを入れてみると面白いんじゃないか」「こんな楽曲の繋ぎ方はどうだろうか」等のアイディアもガンガン投げてくれます。
あの若さでバンド全体をまとめ上げてるの、本当にすごいです。
彼のおかげで本当にスムーズに演奏内容がまとまっていきます。まじで感謝してる。
そして彼がかっこよく作り上げてくれた演奏を受けてワタクシが最終仕上げをしていきます。
この曲のスネアの音もっと深めにしたいーとか、
この曲のベースもっとコード感分かりやすい音作りにしてみようかーとか、
キーボードのここ~ギターの音色~シーケンスのバランス~とか全部しっかり監修した上でライブにおける音作りを完成させて、遂にikuraも含めた全員参加でのリハーサルを行います。

バンドの音を作り上げているその裏で、ikuraは一生懸命歌の練習をしてくれています。
ボイストレーナーのカレンさんと二人三脚で日々鍛錬に励んでいます。
きっとみんなが想像している何倍も何倍も、歌と向き合っています。
周知の事実だと思いますが、YOASOBI の歌は難しいです。まともにピッチを取って歌うだけでも至難の業なのにそれをパフォーマンスしながらかっこよく歌いこなす、並の努力で成せることじゃないです。すごいよ本当に。
連日のライブともなると喉の疲弊との戦いでもあります。
単発で数曲歌うだけじゃない、ドーム公演ほどのサイズにもなれば1日で30曲近く歌います。
それが二日連続だったりするわけです。俺ならもう7、8曲目くらいで喉枯れて多分まともに声出ません。
最近はワタクシAyaseと同じパーソナルトレーナーAMONさんの指導のもと筋トレにも精を出しています。
体力面はもちろんのこと歌声の力強さも確実にパワーアップしているし、
立ち姿の堂々とした風格やパフォーマンス力にも磨きがかかって、より一層頼もしいボーカリストへと進化しています。
そうやってみんなの努力が重なり合って、YOASOBIのライブの音は音源とはまた違った煌めきを帯びます。
妥協は一切しない。当たり前ですが、ミュージシャンによって行われる音楽のライブですからね、
鳴った音がどうであるかは最重要なのです。

音を鳴らすということに関してで言うと、まず大前提として我々演者だけではライブで音を鳴らすことはできません。
音響PAチーム、楽器チームの手腕あって初めて爆音を掻き鳴らせるのです。
PAというのはつまり、演者の鳴らす音をまとめ、各会場ごとに最適な音のバランスを探り、スピーカーから鳴る音の全てを操るサウンドマスターです。
YOASOBIは先ほども紹介したフジケンさんという情熱あふれる職人&ヤゲタという声がクソでかい男を中心としたPAチームが支えてくれています。チーム結成時からとっても仲良しです。もうどれだけのお酒を共に喰らってきたか数え切れません。
そんな彼らはライブ中どこにいるのか、
例えばアリーナでのライブの場合アリーナ席の最後方、沢山のモニターを前に謎の機械をカチャカチャしている人たちを見たことがある方もいるかもしれません。フジケンさんはあそこにいます。
ヤゲタは舞台袖、我らの近くとかにいることが多いです。寂しいんですかね。
ちなみにアリーナ後方のあそこには舞台監督、PA、照明チーム、レーザーチーム、映像チーム、カメラチーム、などなど先にも書いたYOASOBIのライブを作り上げる上で欠かせない首脳陣が勢揃いしております。
あの席のことはFOH(エフオーエイチ) と言います。何の頭文字なのかとかは知りません。
余談ですがYOASOBIのお客さんの中にはこのFOHにいるスタッフさんたちに帰り際「お疲れ様でした!」「最高のライブをありがとうございました!」等声をかけてくださる方が結構いらっしゃると聞いています。みんなめっちゃ喜んでます。
全員が誇りを持って挑んだその仕事ぶりに送られる優しいご褒美、胸が熱くなります。

そして楽器チームのお話。
その名の通りライブでプレイヤーが演奏する楽器周りのサポートをしてくれるチームですが、
様々な機材の貸し出しはもちろん、ライブ中は舞台袖にぴったり張り付きライブ中のプレイヤーをサポートしてくれています。
例えば5曲目が"たぶん"、6曲目が"ハルジオン"、こんなセットリストがあったとします。
この二曲ではAssHが弾くギターが違います。
たぶんはエレキギター、ハルジオンはアコースティックギターを使用しているのです。
たぶんが終わり、ikuraの「ありがとう!」の声が響いたのち素早くハルジオンのイントロを弾くため、舞台袖では次に使うアコギのチューニングやセッティングを完了させておいてくれています。そしてたぶんの楽曲終わり辺りで素早くAssHのエレキを受け取りアコギを渡す、こういったチームプレイがあって、気持ちのいい流れでセットリストを進めることができるのです。スタジオでのリハーサルではこういった一連の流れにおけるスタッフさんの動きも入念に確認します。
もう全員プレイヤーです。
ちなみに楽器チームの核にいる本間さんとレオさんはプライベートでも一緒にキャンプに行ったりしてるくらいの仲良し二人組です。
彼らに限らずYOASOBIライブチームはチームメンバー同士みんなめちゃくちゃ仲良しです。
ライブチームオンリーで爆音で盛り上がったりしてるときも多々あります。
あの瞬間ちょっと寂しいんですよね、俺も混ぜてくれ。

さて、もう書いているワタクシもわけわかんなくなってきましたがここまでの流れと並行して行われていることはまだまだあります。ツアーグッズの製作です。
我々グッズにもめちゃくちゃ力を入れています。
ライブグッズの良さって、そのライブの瞬間だけじゃないんですよね、後々見返した時に全部蘇ってくるんですよね、ライブにまつわる色んな思い出が。
僕ら自身も過去のツアーグッズは大事に取っていたりするのですが、たまに見返して、頭に浮かぶ当時の様々な景色にちょっとエモくなったりしています。
手に取ってくれた人にとっても大切な思い出と紐付くメモリアルなアイテムであって欲しいので、妥協なく細部までこだわって製作しております。
ということでグッズ製作の大まかな流れですが、こちらはまずツアーテーマが決まった時点でAyase&クリエイティブチーム、そしてグッズチームとで一旦の打ち合わせをするところから始まります。
このテーマならこんな空気感がいいんじゃないか~こんなデザイン感が可愛いんじゃないか~等々話し合ってツアーグッズ全体のデザインの方向性を決めます。
そしてそこで決まった方向性にフィットしそうなクリエイターさんを選出します。
うちは特にツアーやイベントごとにストーリーを軸としたテーマをしっかりと設けるので、グッズをデザインしていただくクリエイターさんもその都度テーマに合った作風やクリエイティブをされている方にお願いをしています。
今回は前々から良いなあと密かにチェックしていたRyota Daimon氏にアタックしました。
エアブラシを駆使して描く独特な世界観と圧倒的な画力が最高にかっこいいアーティストです。
今回はツアーテーマから想起して、
キャラバン→群れ→ワンちゃん
ワンちゃんをメインキャラクターにしたい!
となったので、実在しない犬種のワンちゃん描いて欲しいです!とお伝えして絵を上げてもらいました。
最高にクールです。ダイモン君本当にありがとうございます。
そして同時進行でグッズのラインナップも決めていきます。
王道のTシャツやタオルだけでなく、ツアーテーマから想起する面白いアイテムはどんなものがあるだろうとグッズチームとこまめにやり取りしながらラインナップを揃えていきます。
今回は特にツイキャスで皆様から募った意見も大いに反映させてもらいました。本当に参考になったよ超ありがとう。
そしてここからが大変。
上がったデザインの精査、各グッズの生地感やサイズ感の選定、色味の調整、自宅に大量のサンプルが毎日のように届いては確認しフィードバックを送る、これを無限に繰り返してグッズは完成します。
ベストなアイテムを製作するべくグッズチームも様々な業者さんや工場と日々連絡を取り大量生産に向けて準備を進めてくれます。
その間ライブがあろうが撮影があろうが楽曲制作があろうが時間は刻一刻と迫ってくるのです。
海外のライブに発つ直前の羽田空港までグッズチームが来てくれて、チェックインカウンター付近でサンプルのチェックをしたりすることもあります。
あんなに事前に準備してたのに気付けば納品デッドラインぎりぎり、本番にグッズこれ間に合うのか!?なんてことを結局毎回やっています。いやギリギリなのは本当良く無いんですけどね、心臓に悪いし。でも本当に納得いったものをちゃんと作りたいんです。お金をいただくんだもの。
めちゃくちゃ余談ですがグッズチームの稲田さんと平澤さんがワタクシより普通に年下であるということをつい最近知って驚愕したので今度からタメ口で喋ってやろうと思っています。いつもありがとう。

そしてこのグッズ製作中に発生する急ぎで決めないといけないこと、それがツアータイトルでございます。
タイトルが決まってないとデザインできないからね、やばい!もうタイトル決めなきゃ!ってこれも毎回なってます。
今回のWANDARAというタイトルは先ほど書いたツアーテーマで出てきたワンダーランドというワードをポップに略したものになります。
いろーーーんな案を出しましたが最終的にシンプルでキャッチーなものでいきたい、となってこうなりました。
口にしやすいタイトルでありたいってのも毎回思っていることです。
ちなみにワンダラのイントネーションはサンダルと一緒です。ハンサムのイントネーションじゃないです。サンダルです。→→→→です。
かわいいでしょワンダラ。わんわん

さあ、ようやくライブの全貌が見えてきましたが、よくよく考えるとまだかなり大事なところがクリアになっていません。それは演出における具体的なモノづくりです。
こちらも同時進行、他のチームの制作物やアイディア、セットリスト等の見通しが立っていく中、その裏で着実に迅速に進めているのです。
モノづくりは現実的に時間がかかるからね。
例えば電光石火のツアーの時の場合、2枚の大きな可変式LEDパネルがYOASOBI&バンドメンバーを挟んでいるような造りのステージになっていました。このパネルを作り上げるために、まずは会場のサイズやメンバーの暫定の立ち位置を元にした図案を作成します。ワタクシも参加してどんな形状やサイズにするか、舞台監督の清水さん、キャプテン永里さん、映像チームリーダー平山さん(この3人を俗に三大将と呼びます)と綿密に打ち合わせます。
そうして完成した図案を3Dモデリングして実際に組み上がった時のイメージ資料を作ります。
これを見た時点でうわー!すげー!こんなの見たことねえ!清水さんやっぱアイディア力えぐ!とかなります。
しかしこれも理想だけでは実現することはできません。
会場にはそれぞれ音量だけでなく様々な規定が定められています。
ステージ上に組めるモノの重量にも規定があるのであまりにも重すぎるモノは置けなかったりします。
その他にもメンバーの頭上に配置するモノがある場合には安全性の検証は必須です。
炎を使う演出とかもそうですね。消防法に基づいて使えるガス管の数にも限りがあります。
あとは実際にモノを会場に入れるための搬入経路の確保だったり沢山のスタッフさんが行き来できる動線の確認等々…
夢のような舞台を実現する為には色々と現実的なハードルがあるのです。
まあこれにおける1番のハードルは毎回予算なんですけどね…

ということでついでにお金の話をすると、YOASOBIのライブなんてもうありえないメガ演出を盛り盛りに作り込むので毎回半端じゃないお金がかかります。
そしてこの話をすると決まって「金かけてんねえ!儲かってるねえ!」みたいな声が聞こえてきますが、逆ですからね逆。
いや、一生懸命楽曲作ってるのでライブ以外では頑張って稼いでいますが、ライブに関してはもう赤字赤字ですよ、普通に。
だがしかし我々は赤字を食らおうとも全力でえぐいライブを作りたいんですよ。
本当に誰も見たことのないやばいステージを見せたいんですよ。だから赤字とか気にしていません。いや少しは気にしないといけないんですけどね。
でも最初からずっとそう。最高のライブを作るため惜しみなく投資する。大丈夫その分かっこいい曲いっぱい書いて取り返せば良いのです。
そうしてまた大赤字食らいながらやばい舞台を作り上げる。これが我々のスタイルなのです。
馬鹿馬鹿しいほどデカい夢掲げて、そこに全ベットしてこそミュージシャンでしょ。ワタクシそう思っております。

さて、話を戻します。
モノづくりのお話でしたね、モノはモノでもアナログなモノからデジタルなモノまで沢山あります。
電光石火の板挟みLEDパネルやPOPOUTの3D LEDパネル、こういったデジタルなモノ、LED等を作ったり設置したりするのもプロのお仕事、我らがLEDチームことヒビノチームからご機嫌なメンバーたちの出番です。
東京ドームのエンドステージを覆い尽くすバカでかサイズのLEDも、全て人の手で一枚一枚組み上げて作っています。信じられなくない?
ライブチームみんなが愛する我らがマミコ姉さんもイカついヘルメットを装着していつもテキパキと組み上げています。現場に生きるその姿、かっけえです。
そんなかっけえマミコ姉さんですがアジアツアー中に酔っ払ったその姿はピュアピュアでとってもキュートでした。
いつでも脅しに使えそうなほど可愛い動画を押さえられたのでもう彼女はワタクシの手の中です。今回のツアーはどうなるかしら。

そして現場に生きるモノづくりのプロたちの筆頭にケントという男がいます。
私服でタイツくらいピチピチの黒革ジャンを着るほどに気合の入ったクールガイです。
彼が率いる道具チームはまさに我々YOASOBIが立つステージそのものを作り上げてくれます。
Ayaseがどんだけ暴れ回ろうがびくともしない頑強で安心安全なステージ、言葉通り縁の下の力持ちたちが組み上げてくれているのです。
ステージの設営はもちろんのこと、いつも驚かされるのがその撤収の速さ。
これまた信じられない話ですが、2Days等で次の日もライブがある場合以外、ライブが終わり、お客さんが完全に全員退場した直後からステージのバラしは始まります。
そして朝日が昇る前には会場はまっさらに戻っているのです。どういうこと?
ライブ終わりのAyaseがメイクを落とし、衣装を着替え、打ち上げ会場にて乾杯の音頭をとっているその裏で、彼らは汗を流しながら撤収作業をしてくれています。頭が上がりません。
だからこそ道具チームと乾杯できる日は特別に感じるし、今回のツアーでもそのタイミングが訪れるのを楽しみにしています。
いつも本当にありがとうございます。

こうやって沢山の、本当に沢山の人の力が合わさってようやくライブをすることができます。
当たり前ですが全スタッフ基本YOASOBIオンリーってわけじゃないですからね、他のアーティストの現場もあって、そのうちの1アーティスト分の働きだけでこれだけ動いています。
とんでもないでしょう、とんでもないんです。本当にいつも感謝しています。
さあ、何はともあれ遂に役者は揃った。
もう、ライブができる準備は揃いました。
あとは前日や当日のリハーサルで入念に最終確認です。

実際に会場入りしてみないと分からないことは沢山あります。
舞台裏の導線やステージの形状、当日の気温や湿度によって変わる音の質感、各会場の壁や天井の色によって見え方が大きく変わる映像の色味や照明具合、等々…
PAチームと細かくやり取りしながらベストな音作りを追求し、演出、映像、照明、レーザーチームと議論を重ね最終的な絵作りを仕上げていきます。色んな視点からチェックしたいのでAyaseも会場中を駆け回っております。
ライブ当日のタイトなスケジュールはライブ制作チームが徹底管理、演者もヘアメイクチームにバッチリ仕上げてもらって衣装に身を包みます。
その裏でikuraは声出しを始めます。入念に、2時間近く発声練習やストレッチを行います。
沢山の人の力でここまで組み上げてきたライブのステージ、
演者である我々がコンディション悪くて…なんてあってはならないのです。
最高のパフォーマンスをお届けするため全員しっかりと準備を進めます。
本番開始1時間前にはみんなで集まってセットリストの流れや確認事項をチェックしながら本番前の最終打ち合わせ。
打ち合わせでは流れの確認だけでなくその日その日の目標や心がけるべきテーマを共有します。
そうして準備完了した我々は公演開始10分前~5分前には舞台袖にて待機。
演者全員で円陣を組み、でかい声をあげて気合いを注入。
その後演者全員でハイタッチし合うのもお約束の儀式。
舞台周りでサポートしてくれるスタッフさんたちとグータッチでよろしくの挨拶を交わしたらそろそろ、OPSEが鳴り始めます。
お客さんはどんな反応で迎えてくれるだろうか、
これから一体どんな景色が見れるのだろうか、
高揚と緊張とでふわっとする体にゆっくりと深く酸素を入れて集中の深層まで潜る。
そしてイヤモニに届く清水さんのGOの合図。
ありったけを持ってステージに繰り出す。
さあ、ライブが始まります。


さて、この長い長いお話もそろそろ締めに向かいます。
ここまで読んでくれた方、お付き合いいただきありがとうございました。
書きたいことありすぎちゃったね。
YOASOBI のライブの作り方、いかがだったでしょうか。
今回紹介したそれぞれのチームやそのメンバーたちは本当に一部で、まだまだまだまだ沢山の人や沢山のチームが携わってくれています。書ききれないほどに。
リハも本番も袖でYOASOBIサウンドを支えてくれている寒さに弱過ぎる田本さんも、毎回カナダから来てくれてビハインドの映像を回してくれるマシューも、ライブの時のikuraの立ち回りを完璧に把握してるからリハでミラー検証できちゃうツキイちゃんも、人力と思えない完璧なピンスポ操作を見せるリョウカも、カラオケの声うるさすぎるソンくんも、最近あんま喋ってないナルミも、指相撲白熱しすぎたタカシさんも、ヘアバンド似合いすぎトリゴエさんも、目がエロすぎるニシくんも、
いや、これ挙げ過ぎると挙げてない人に失礼な感じになってくるのでこの辺にしますね。
多分全員紹介しようとすると週刊連載で2年くらいかかると思います。
ドーム公演の際のライブチームは総勢約300人でした。そこに加えて当日の会場のスタッフさんやバイトさん、現場にはいない運営サイドのスタッフさんたちも含めるととんでもない数です。

そして今回はライブのお話なので、あえて焦点を置かず書き進めてきました

ここまでの全てのスケジュールを管理しつつ、もちろん現場にも足を運び、今後のYOASOBI の活動について真剣に考え、共に走り続けてくれる
YOASOBI マネジメントチーム。
YOASOBI立ち上げメンバーである山本
初めての紅白歌合戦に向けたリハから加入した吉野
電光石火ツアー大阪場所ではじめましてをした鎌田
この3人を中心に、最近は現場マネージャーとして中里と平井の2名も加わりました。
YOASOBI ふたりが忙しい時、彼らは基本その3倍は忙しいです。とんでもない仕事量を少数精鋭でこなしながら
YOASOBI の現在も未来も、共に考え共に作り上げてくれています。
僕らは基本全てのスケジュールをお互いに把握できる状態にしてあるので、彼らが日々どれだけ動き続けてくれているか、よく知っています。
遠征先から東京に戻った直後であろうが、打ち上げ中だろうが、
時には休日を返上してまでも、何かしら常にYOASOBIのための仕事をしてくれています。
ライブ作りにおいても彼らならではの視点があって気付く改善点も沢山あるし、
ライブ当日においても細やかな気遣いと様々なサポートにめちゃくちゃ助けられています。
ワタクシも中々一筋縄ではいかないこだわりの強いミュージシャンなので、世話かけます。
いつも本当にありがとう。

これだけ沢山の人の手によってライブは作られています。
これだけ沢山の人の想いが込められてライブは作られています。
今回ここまで細かく書きたかった理由は、
忙しさを知って欲しかったわけでも大変さを知って欲しかったわけでもないです。
これだけの人たちがこれだけの熱量を注ぐことができるほどこの現場が楽しくてしょうがないんですよっていうことを伝えたかったのです。こんな日々を送ることができているのは、紛れもなく応援してくれるあなたのおかげです。
いつも本当にありがとう。

打ち合わせをしている時も、現場で色んなことを検証している時も、スタジオでリハしている時も、会場内を駆け回っている時も…色んな瞬間瞬間、スタッフさん全員が全員そう思ってくれているかはもちろん分かりませんが、少なくともAyaseから見たチームのみんなはめっちゃ楽しそうに目をキラキラさせています。
なんかね、文化祭の準備をしているみたいな気持ちになる時があります。
みんなで一つのものをわちゃわちゃとあーだこーだ言いながら作り上げる。
ぶつかり合ってる瞬間もあれば上手くいかず途方に暮れている瞬間もある、
それでも着実に形にしていって、だんだんと完成が見えてきて、全てを乗り越えた先でいよいよ本番を迎える。
青春させてもらえてるなって、いつも感じています。

ひとりよがりな願いかもしれませんが、
僕には理想としている現場の姿があります。
それは、この現場から帰って家族や親しい人に会った時、昨日今日こんなことあってさー!って、
現場であった楽しい出来事、面白い話、嬉しかったことをつい沢山喋ってしまうような、そんな現場。
そんな現場でありたいなといつも思っています。
大変なことは沢山ある。
不測の事態に頭を悩ませることも沢山ある。
それでもみんな音楽が大好きで、ライブが大好きで、この仕事が大好きで、そしてきっとYOASOBI が大好きなんです。
や、これは自意識過剰ですかねどうかな。そうであって欲しいな。
これだけ沢山の人の想いを背負ってステージに立つことができている我々は本当に幸せもんだし、
辿り着いたステージから見渡せばそこには更に、愛を送ってくれる人たちが待ってくれている。LOVEの板挟みだこれ。
いただいてばかりではいられません。
必ず最高のライブにしてみせます。
必ず最高の景色をお見せします。
その責任が我々にはあるし、そうでないと自分たちの気が済まないのです。

明日から始まるYOASOBI HALL TOUR 2025 "WANDARA"
どんな旅路になるのか今から楽しみで仕方がないな。

まずは熊本、全力で楽しみましょう!

Ayase

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